数列
において,すべての n について
である定数 M が存在するとき,数列
は 上に有界(bounded above) であるといい,すべての n について
である定数 m が存在するとき,数列
は 下に有界(bounded below) であるといいます.またすべての n について
のとき,数列
は 有界(bounded) であるといいます.
解
について
となるので有界です.
すべての n について
となるとき,数列
は 単調増加数列(monotonically increasing sequence) であるといいます.同様に,すべての n について
となるとき,数列
は 単調減少数列(monotonically decreasing sequence) であるといいます.
解
まず,どうやって
と
の大小の比較をしたらよいか考えてください.大きさの比較には,基本的に2つの方法があります.1つは差が正か負かを調べます.もう1つの方法は比が 1より大きいか小さいかを調べます.
ここでは比を使って調べてみましょう.
より
よって
したがって,
より,
は単調増加であることがわかりました.
さてこの数列は収束するのでしょうか.数列の極限値が求められる場合は問題ないのですが,この数列のように何に収束するか,それどころか収束するかどうかもわからない場合があります.そんなとき,次の定理は基本です.
この定理の証明も実数の連続性をもとにしています.証明はこの章の最後で示すことにして,とりあえずこの定理が成り立つことを認めて次の問題を考えてみましょう.
解
まず,数列
が収束することを示します.そのためには数列の基礎定理より,
が上に有界な単調増加数列か,下に有界な単調減少数列か示せばよいでしょう.
より,
.そこで数学的帰納法を使います.
n = 1 のとき,
は成り立ちます.次に
を帰納的仮定とすると,
したがって,帰納法によりすべての自然数 n に対して
.
次に上に有界であることを示します.
を帰納的仮定とすると,
.したがって,すべての自然数 n に対して
となります.よって
は上に有界な単調増加数列となり
は収束します.
さてこの数列はどんな値に収束するのでしょうか.まず
とすると
となります.なぜそうなるのか考えてみましょう.
は単調増加数列で上に有界なので
が成り立ちます.ここで
が
に収束することに注意すると,全ての正の数
に対して, n > N ならば
となる自然数 N が存在する.よって
となり,
も
に収束することがわかります.
次に漸化式
より両辺の極限値を求めると
ここで,演習問題1.5.1-2より
は
で連続であることに注意すると
したがって,
これより
よって,
となります.しかし
は単調増加で
より,
.したがって,
となります.
ちょっと面倒なやり方ですね.そこで漸化式の極限値の求め方には次のようなものがあります.
証明
より
ここで
より
.よって
.これより
となるので
解
この定理を用いるには,数列がある値に収束することを仮定しなければなりません.そこで,
が
に収束するなら
も
に収束することを用いると
となります.これを解くと
となるけれど
より
は不可能だとわかります.そこで
が極限値であることを示しましょう.
定理1.13より
となる
が存在することを示せばよいでしょう.
ここで
より
が示せました.
解
より,
を展開したとき現われる係数は (a + b) をn回かけたときに現われる
の回数を数えればよいことが分かります.a は全部で n 個あり,そのうちの j 個を使うので,その組み合わせの総数を
と表わすことにします.
では
とは何通りなのでしょうか.数えてみましょう.
まず,それぞれの a に番号を1から n までつけたとします.そして n 個の a から j 個の a を1つづつとりだして並べると,最初の a は n 個の中のどの a でもよいので, n通りの選び方があります.次にくるのは n-1 個の中のどの a でもよいので, n-1通りの選び方があります.このようにして全部で
通りあることが分かります.これを
で表わし, n 個から j 個のもの取り出し順序をつけて並べたときの数,つまり順列の数といいます.しかし,この問題では a はすべて同じものと考えられるので,とりだした j 個の a は並び方に関係がありません.そこで
通りのうちa の並び方を無視すると
通りの繰り返しがあることが分かります.よって求める組み合わせの総数は
となります.これより
これを2項定理といい,
を2項係数といいます.
さてもう一度数列
を考えてみましょう.すでにこの数列が単調増加数列であることは示しました.そこで次に上に有界であることを示しましょう.
そのためには,2項定理を用いて
を展開する必要があります.
よって,
は上に有界な単調増加数列となり数列の基礎定理より収束します.
さて
の極限値は何でしょうか.この極限値は スイスの数学者 Leonhard Euler (1707-1783) によって初めて定義されたのでEulerの頭文字をとって e で表わします.つまり
となります.
解
より n < x < n+1 となる n が存在します.よって
ここでもう一度 n < x < n+1 を用いると
となります.
に注意すると
よってはさみうちの定理より
となります.
[H]