関数
において,
のとき,
ならば, l を
が
に近づくときの
の極限値といい,
で表わします.
1変数のときと違い
を満たす近づき方は無限にあります.上の定義は
を満たすすべての近づき方に対して,
であるといっているのです.
この定義にでてきた
は 2変数のときは
と表わされ,半径
の円の中心
を除いた部分であることがわかります.このような集合を点
の
近傍といい,
で表わします.
ここで,平面上の点についての理解を深めておきます.
のある部分集合を D とします.このとき平面上の点
は次の3種類に分類されます.
(1)
に対し,
となる
の
近傍が存在するとき,
は D の 内点(interior point) といいます.
(2)
に対し,
となる
の
近傍が存在するとき,
は D の 外点(exterior point) といいます.
(3)
が D の内点でも外点でもないとき,点
を D の 境界点(boundary point) といいます.
D の境界点すべての集合を D の 境界(boundary) といい,
で表わします.また,すべての点が D の内点のとき D を 開集合(open set) といいます.
解
を D の任意の点とします.このとき原点と点
までの距離を求めると
となります.よって,
を
より小さくとれば,
が成り立ちます.よって,集合 D は開集合となります.
また,集合 D の補集合
が開集合のとき D を 閉集合(closed set) といいます.D にその境界
を付加してできる集合を 閉包(closure) といい,
で表わします.
集合 D に属するどの2点も, D の中だけを通る連続曲線で結ぶことができるとき, D を 連結(connected) な集合といいます.また,連結な開集合を 領域(region) といいます.領域 D の閉包
を 閉領域(closed region) といいます.
集合 D が半径 r の開円板
に含まれるとき,集合 D は 有界(bounded) であるといいます.
解 境界は
で閉領域
は
となります.また, r = 2 とおくと,
となるので, D は有界です.最後に D に属するどの2点も半径1の円の中にあるので,直線(連続曲線)で結ぶことができます.よって領域となります.
解
D は平面から x 軸を除いた点の集合です.よって,どんな半径の開円板をとっても D を含むことができません.また,上半平面と下半平面から,1点づつとると,この2点はどんな連続曲線でも結ぶことができません.よって領域ではありません.
集合上での点についてはこのくらいにして,話を関数の極限にもどします.まず例として次の極限値の問題を考えてみましょう.
解
のとき,
となります.では,どちらが速く0に近づくのでしょうか.それを調べるために,分母のそれぞれの項の中で最小な次数と分子のそれぞれの項の中で最小な次数とを比較します(なぜなら,次数が大きいほど速く0に近づきます).この場合は,分子の項の最小次数は3で,分母の項の最小次数は2です.このように分子の項の最小次数 > 分母の項の最小次数のときは,平面上の任意の点 (x,y) を
とおくと,
となり,任意の点 (x,y) がどのように (0,0) に近づいても,原点と点 (0,0) の距離
は 0 に近づくので,
と
は同値です.よって,はさみうちの定理より,
したがって,
となります.
もう1つ極限値の問題を解いてみましょう.
解 この例では分子の項の最小次数 = 分母の項の最小次数となります.ここで, y = mx とおくと,
したがって,
この値は m の値によって,つまり, (x,y) が (0,0) に近づく経路によって異なります.よって上の定義より
のとき極限値は存在しません.
1変数のときと同様,
が成り立つとき,
は
で連続であるといいます.また,ある集合 D の各点で連続のとき,
は D で連続であるといいます.
解
が成り立つか調べればよいでしょう.分子の項の最小次数 > 分母の項の最小次数より,
とおくと,
したがって,
. また, f(0,0) = 0 より, f(x,y) は (0,0) で連続であることがわかります.
[H]