関数 z = f(x,y) が領域 D で定義されているとします.
をそれぞれx,y の増分とするとき,これに対応する z の変動量
を z の増分といい,
で表わします.
ここで,
とおき,
となる関数
を o(h) で表わすとします.このとき,
となる定数 A,B が存在するとき,関数 f(x,y) は点 (x,y) で全微分可能(totally differentiable) であるといいます.ちょっと分りにくいですね.そこで,全微分可能のときどんなことがいえるのか調べてみましょう.
証明 点
で全微分可能なとき,
となる定数A,Bが存在する.よって
これより, f(x,y) は点
で連続.次に,式6.1 で
とおくと,
これより,
となり, f(x,y) は点
で x について偏微分可能で,
である.同様にして,
のときを考えることにより, f(x,y) は点
で y について偏微分可能で,
を得る.
解
例題6.8より f(x,y) は (0,0) で偏微分可能となりますが,例題6.6より (0,0) で連続ではありません.よって定理6.2より f(x,y) は (0,0) で全微分可能ではありません.
この例題からも分かるように,偏微分可能であることは全微分可能であることの十分条件ではありません.何が足りないのか考えてみましょう.
級 ならばどうでしょうか.
級 とすると
ここで
は連続なので,
ただし,
のとき
.
同様に,
も連続なので,
ただし,
のとき
.
よって,
次に,
を示しましょう.
と表わせ,Schwarzの不等式よりベクトル
の間に
が成り立ちます.よって
このことより,次の定理を得ます.
f(x,y) が全微分可能なとき,
は
の主要な部分とみなせるので,これを点 (x,y) における関数 z = f(x,y) の 全微分(total differential) といい dz または df で表わします.つまり
ここで f(x,y) = xおよびf(x,y) = y を考えることにより,
とおけるので
と表わすことができます.
このとき,ベクトル
を f の 勾配(gradient) といい,
で表わします.つまり
したがって,全微分 df は
を用いて次のように表わすことができます.
ここにでてきたベクトル
は2変数のベクトル関数となり,ベクトル場(vector field) といいます.
ここで点
を通り法線ベクトルが
であたえられる平面を考えます.この平面の方程式は
で与えられるので,点
に対応するz は
となり,
の近似となります.このような平面を,接平面(tangent plane) といいます.また,法線ベクトルは
で与えられます.
解
より
. これより接平面の方程式は
より z = 4x + 3y - 1.また,法線は
接平面については8章で詳しく学びます.
解
解
電卓,コンピュータソフトを用いれば,簡単に近似できますが,手もとにそういう道具がないときはこんなふうにして求めます.
まず,関数
を考えます.このとき, x = 25, y = 1000 ならば, f(25,1000) = 50 と求めることができます.そこで,
とおくと,求める値は
となります.ここで,
であることを思い出してもらうと,求める値は
ところが,
なので,
と表わせます.あとは
より
よって
のとき,
これより,
となります.実際
をMathematicaを用いて求めると52.32となります.
[H]